プロジェクト期間:令和4年度~
リーダー: 技術・教育支援センター 技術専門職員 宮嶋久幸
メンバー: 技術・教育支援センター 技術専門員 宮本憲隆、 技術・教育支援センター 技術専門職員 吉田圭吾、 MI-Gr (教授) 田中裕一、 本田晴香(秋田大学助教)
プロジェクト概要
細胞培養は、再生医療や医薬品、環境アッセイなど幅広い分野で用いられています。細胞培養では、顕微鏡などの解析機器や機能的な培養基材などの実験機器が必要です。本プロジェクトでは、八代キャンパス技術・教育支援センターが有する微細加工技術(高精度マシニングセンター、3Dプリンター等)を活用し、オリジナルの細胞培養関連ツールの開発を行います。
今年度の目標・活動計画
生物学の知識や技術のみならず、工学的な観点からのツールの検討や設計を行います(例:蛍光顕微鏡ステージ)。八代キャンパス技術・教育支援センターが有する微細加工技術を活用し、細胞培養関連ツールの試作品を作製、試作品の評価を実施する予定です。
- 微細加工技術の調査
- 実験装置や器具等の企画検討する
- 検討に基づく設計や試作を行う
- 試作品を評価し改良を検討する
令和5年度の活動報告
昨年度作製した蛍光顕微鏡ステージが、「2022年の日本の光学研究を代表する成果」に選出され、「光学」に解説記事が掲載されました(活動業績1)。また、昨年度から製作を進めている顕微鏡カメラ用のパーツと、分子生物学分野の実験に欠かせないLEDイルミネーターの作製を行いました(活動業績2,3)(図1)。
- 図1.理科教育学会における試作品の展示
また今年度は、微細加工技術を用いた細胞培養基板の開発・評価も同時に進めています。具体的には、動物由来細胞を三次元的に培養可能な細胞培養基板の開発を行っています。毛乳頭細胞や魚類由来細胞など、様々な細胞種で有効な培養法であることが示されました(活動業績4~5)。
令和4年度の活動報告
今年度の活動概要
今年度は、ウェブ会議システム、またはメール会議で打合せを行いながら、本プロジェクトを進めました。
3Dプリンターを用いて、倒立型蛍光顕微鏡に取り付け可能な蛍光顕微鏡ユニットを作製し、関連学会でのポスター発表を行いました。さらに、Journal of chemical education 誌に論文が採択されました(活動業績1~3)。
蛍光顕微鏡ユニットの3Dモデルデータは論文内で公開しており、誰でも無償で利用することが可能となっています。さらに、顕微鏡カメラ用のパーツと、分子生物学の実験に欠かせないLEDイルミネーターの作製に着手しました(図1)。
今後の展望
細胞培養分野においては、生物学の知識や技術のみならず、工学的な観点からの培養環境や装置の設計が不可欠です。今後も、機械・加工・材料といった高専の強みを活かしながら、細胞培養技術に関する研究を継続し、地道に研究成果を重ねたいと考えています。
活動実績
本研究に関わる外部資金獲得状況
- 本田晴香、生体を模倣した in vitro 毒性評価を実現する魚類肝細胞スフェロイド の高機能化、若手研究、令和2年度~令和4年度
- 本田晴香、魚類培養細胞スフェロイドの基礎特性評価とそれを用いた水質評価試験への応用、公益財団法人住友電工グループ社会貢献基金、平成30年度~31年度
- 本田晴香、低酸素環境が毛乳頭細胞スフェロイドの毛包誘導力に与える効果、科研費研究活動スタート支援、平成27年度~28年度
国内外学会発表等
- Haruka Honda, Noritaka Miyamoto, Hisayuki Miyajima, Yuichi Tanaka, Development of a microscope stage with light-emitting diodes to upgrade a traditional microscope to a fluorescence microscope, Journal of Chemical Education, 2022 (Accepted)
- Haruka Honda, Noritaka Miyamoto, Hisayuki Miyajima and Yuichi Tanaka, Fabrication of a microscope stage with light-emitting diodes to upgrade a simple microscope to a fluorescence microscope, ACS spring2022, San Diego (Hybrid), 2022 (Online/poster)
- 本田晴香, 上田珠莉, 魚類由来肝細胞株のスフェロイド形成と生物応答性試験 への応用, 日本動物実験代替法学会第34回大会, 沖縄(ハイブリッド開催), 2021(オンライン/ポスター発表)
- 本田晴香, B細胞リンパ腫の三次元培養モデル作製の試み, 化学工学会第52回 秋季大会, 岡山(ハイブリッド開催), 2021(オンライン/口頭発表)
- Haruka Honda, Keigo Yoshida, Noritaka Miyamoto, Hisayuki Miyajima, Syuji Yoshida and Yuichi Tanaka, Development of culture substrate with microstructures for generating spheroids, 28 th Annual Meeting of MRS-Japan 2018, Kitakyushu, 2018 (Oral)
- 本田晴香, 古川優輝, 吉田圭吾, 宮本憲隆, スフェロイド形成基板の作製とヒト由来毛乳頭細胞の培養, 熊本高専研究紀要, 9, 48-54, 2017
- 本田晴香, 梅下瑛茄, 米村祥世, 宮嶋久幸, 宮本憲隆, 吉田圭吾, 田中裕 一, 吉田修二, バイオアッセイのための動物細胞培養プラットフォームの設計と作製, 第27回九州沖縄地区高専フォーラム, 久留米, 2017(ポスター発表)
- 岩本結衣, 田上佳奈, 本田晴香, 動物細胞培養基板の開発と評価, 際物[キワモノ]・カフェ@やつしろ, 八代, 2017(口頭発表)
- 本田晴香, 古川優輝, 効率的に毛乳頭細胞スフェロイドを形成する培養基板の開発, 第26回九州沖縄地区高専フォーラム, 八代, 2016(ポスター発表)
- 古川優輝, 吉田圭吾, 宮本憲隆, 本田晴香, 微細加工技術を用いた毛乳頭細胞スフェロイド形成方法の開発, 化学工学会第48回秋季大会, 徳島, 2016(ポスター発表)