校長挨拶


校長 髙松 洋

熊本高等専門学校は、二つの高等専門学校が統合された全国で4校ある高等専門学校の一つであり、昭和18年設立の熊本無線電信講習所を前身とする熊本電波工業高等専門学校と、昭和49年設立の八代工業高等専門学校が再編されて平成21年10月に設立されました。熊本キャンパスには情報通信エレクトロニクス工学科、制御情報システム工学科、および人間情報システム工学科、八代キャンパスには機械知能システム工学科、建築社会デザイン工学科、生物化学システム工学科の計6学科があり、それに加えて電子情報システム工学専攻と生産システム工学専攻が置かれています。また、今の時代には不可欠な情報セキュリティセンター、ものづくりの技能も身につけた技術者養成のための技術・教育支援センター、および地域との連携や地域貢献を主たる目的とする地域協働プロジェクトセンターに加え、学生と教員の国際化および高専教育の海外展開のためのグローバルリーダーシップ育成センターも設置し、我が国および世界の将来を支える技術者を育成しています。

これまで、高専は日本の産業を支える人材を輩出してきたとして社会から高い評価を受けており、多くの方から多大な期待をしていただいております。本校は、それぞれの専門分野の教育に加えいくつか特徴のある取組を行っています。一つ目の特徴はリベラルアーツ教育にあります。学生の視野を拡げるとともに、様々な課題を自ら見つけ解決する方法を考える能力を養うための教育を、リベラルアーツ科目として1年生から4年生まで行っています。二つ目は半導体に関する教育です。熊本では台湾の企業の進出を契機として半導体産業の振興に対する期待が高まっており、本校にも人材育成の高い期待がかけられています。そこで、すべての学科の学生が半導体に関する入門科目を受講できるようにするなど、さまざまな取り組みを行っています。三つめは特に介護・医療分野の支援技術開発を教育に取り込んでいる点です。学生の能力を引き出しながらこの分野の技術の社会実装に力を入れていきます。四つ目は、昨今、我が国で期待されているアントレプレナーシップ教育です。本校では「熊本高専ファーストペンギンズプロジェクト」と名付けた取り組みを行っており、学生のチャレンジ精神を育むとともに、学校が一体となってそれをサポートする雰囲気にしていきたいと考えています。 今、時代は転換期を迎えています。AIの進化は確実に社会を変えていくでしょう。また、2050年までのカーボンニュートラル達成目標やデジタルトランスフォーメーションも社会を変える駆動力となります。その社会の変化に対応し変化をリードしていける学生を育てるには、教員自身が守るべきところと変化すべきところをいち早く見極め、教育の内容や方法を柔軟に変えていく必要があると思います。また、これからの高専教育には、企業、地域、様々な教育機関、自治体との連携がますます重要になってきます。ご関係の皆様のご理解とご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。