プロジェクト期間:令和5年度~
リーダー: TE-Gr (教授) 大石信弘
メンバー: 理数-Gr (教授) 工藤友裕、 理数-Gr (講師) 石田明男
プロジェクト概要
学校現場で最も多く用いられている正答率や偏差値による学生の評価では、年度が代わるごとに受験者が変わることから、年度間をまたいでの学生の能力評価や科目の難易の評価は難しいです。
そこで、受験者の能力と試験問題の特徴とを切り離して推定する項目反応理論(IRT)を適用し、異なる受験者に対する能力値を推定することで、科目到達レベルの質保証を行います。
今年度の目標・活動計画
昨年度は、受験者が数十名から百名程度の小標本しか得られない学校教育現場においても適用可能なベイズIRTを開発し、電気回路学に適用し、年度間の学生の能力値を同じ尺度で評価することができました。今年度は、理工系科目である数学、物理学にも適用し、まずはこれらの科目での学生の能力値の傾向や特徴を分析する予定です。さらに、各科目では共通した受験者がいることから、共通受験者計画によりベイズIRTの結果を水平等化し、各科目の難易度を評価する予定です。
開発したベイズIRTを理工系科目である、数学、物理学、電気回路学に適用し、以下の分析を行う予定です。
- 各科目において、学生の能力パラメータの特徴や傾向を把握する
- 基礎力を養う日々の取り組みと応用問題を解く能力との関係を明らかにする
- 共通受験者計画により、理工系3科目の難易度を評価する
得られた成果については、国内会議、国際会議に投稿する予定です。
令和5年度の活動報告
大規模テストではすでに用いられるようになったIRTですが、それを少人数の学校教育現場に適用するために、ベイズ統計(MCMC)を適用します。
開発したベイズIRTをもとに、今年度は以下のような活動を行いました。
1) 理工系科目である、数学、物理学、電気回路学に適用しました。
2) 共通項目計画により、電気回路学の年度間の学生の能力値を絶対推定しました。(図1、図2参照)
3) (2)の内容に関して、本校の紀要に投稿しました。
4) (2)の内容に関して、本校の研究教育地域連携フェアにて発表しました。