プロジェクト期間:令和4年度~
リーダー:CI-Gr 准教授 西村勇也
プロジェクト概要
楽器の音響特性を評価する手法のひとつとして音響放射特性が挙げられます。
研究プロジェクトでは本校所有の無響室内に1辺が1mの正二十面体を設置し、その稜接球との交点に42chのマイクロフォンアレイを構成し楽器演奏時に放出される音響放射特性を可視化することを目的とします。
今年度の目標・活動計画
目標
新たに採択された科研費基盤C (23K00206) 「ヴァイオリン演奏時の指向特性を評価指標とした弦楽器職人の技術継承支援」の研究計画・目標に基づいて活動を予定しています。
活動計画
音楽音響分野の中で特に楽器音響を主たる研究テーマとして種々の楽器について研究を実施していますが、今年度は2015年から取り組んでいるヴァイオリン職人の技術継承支援について継続的に取り組みます。
ヴァイオリン職人の技術継承とは製作から調整・修理に至るまで多岐に渡りますが本活動では「調整」に主眼を置き、調整と演奏時のヴァイオリンの指向特性の変化について以下の方法により取り組みます。
- ヴァイオリン職人による駒及び魂柱の調整
- 調整された駒及び魂柱位置の精密計測(CTスキャナを用いた微細計測)
- 調整されたヴァイオリンによる入力アドミタンス計測を実施し、固有モードを計測
- 無響室での実演奏時の放射指向特性の計測(固有モードとの相関関係について調査)
令和4年度の活動報告
楽器演奏時の放射特性可視化として、令和4年度はバスクラリネットを題材として取り上げた。
バスクラリネットは木管楽器の一種であり、リード楽器に分類される。
他のリード楽器と特異な点として、楽器を支えるエンドピンを使用して演奏する点である。エンドピンはΦ=7mmの金属が用いられるが、材質は豊富でアルミ・真鍮・ステンレス・タングステンなど奏者の好みに合わせて使用されている。
この種々のエンドピンを装着し楽器演奏時の放射特性および周波数特性を測定することにより、奏者へ選定基準を提示することが可能となると考えている。
本年度は4種類の金属を用いた測定を実施した。