IoT共通基盤整備プロジェクト

プロジェクト期間 平成30年度~令和2年度
地域協働プロジェクトセンター 教授 田中 裕一

プロジェクト発足時の目標

「熊本高専八代キャンパスでIoTの基盤を整備するプロジェクトを立ち上げ、そのプラットフォームで個人の活動を共有し、助け合い、地域社会等からの様々な相談に出来る限り応え、八代キャンパスで応えられない場合は、応えられそうなところを紹介して相手に満足してもらうことを目指す。」

その後、熊本高専熊本キャンパスとの共通化、学外からの要請や地域社会との連携等、いろいろな付き合いが広がり、本年度も更なる発展を期待されています。

平成30年度の活動報告

当初、八代キャンパスからは、環境モニタリングプロジェクトとIoT基盤構築プロジェクトを提案しました。平成29年度に八代キャンパスIoT研究会を立ち上げていたため、これを機に①八代キャンパスにIoTの基盤を構築すること、②環境モニタリングをIoT関連技術面で支えることを目的として開始しました。本校には以前から、防災科研等との共同研究を進めているグループがあり、高専ワイヤレスIoTコンテスト(総務省)で本校の両キャンパス合同チームが採択され、高専のIoT共通開発プラットフォーム(高専IoTオープンリソース)との接続も期待されたため、この機会にIoT“共通”基盤プロジェクトと名称を改めて取り組みを進めました。

情報収集、IoT共通基盤に関する先行トレーニング、水位計測センサー発注、光の波長分布センサー調査、プロセス共有ミーティング、湧水を利用した米保冷庫プロジェクトとの連携、IoTリソース説明会(Zoom)、八代市産業振興協議会専門部会IoT八代同盟参加し、平成30年度は各人がセンサーでとったデータをクラウドに上げて表示してみることになりました。その後、IoTプラットフォームobnizを発注し、平成31年1月9日、Azureクラウドサーバー構築講習会を実施しました。

平成30年10月14日、熊本高専 八代キャンパス ICT第2演習室で、「IoTのためのクラウドアプリケーション開発入門~IoTプラットフォームとしてのAWS入門~」を開催し、平成31年1月27日、熊本高専 八代キャンパス 共通教育科・管理棟2階多目的セミナー室で、「ESP-WROOM-02とBlynkによるIoTシステム構築~LPWAやobniz等の最新情報もご紹介~」を開催しました。

平成31年1月30日、学生指導事前ミーティングを行い、2月14日、IoT共通基盤PJ学生を交えたミーティングを実施しました。 2月21日、メガミーティングではパネル2枚とデモ機を展示しました。 3月6日、学生中間報告会、3月20日、次回中間報告会を実施しました。八代C関係教職員は都合が合うときに進捗報告してもらうと同時に、それぞれでも学生を集めて進めるやり方を試してみることとなりました。

メガミーティング 展示パネル

画像をクリックするとPDF(357KB)が表示されます。

令和元年度の活動報告

令和元年度の本プロジェクトが関連する活動の中で、内容を把握できているものを以下に示します。

公開講座 4件、熊本県工業連合会と本校の共同事業である、新・閃きイノベーション 7社、企業連携 7社、IoT関連の講習会等参加 2回以上、2019高専防災コンテスト「地域防災力チャレンジ」2ndステージ進出、最終審査会、第4次産業革命 エグゼクティブ ビジネススクール 講師、ドローンプロジェクトの立ち上げ等が行われました。

地域等との連携としては、八代本町アーケードコワーキングスペース整備、水俣寒川水源米保冷庫、多良木栗収穫ロボット、河川水位測定、い草畑の環境測定、八代市プログラミング教育、八代圏域雇用促進センター・八代商工会議所との協働、氷川町と包括連携協定締結、八代市産業振興協議会IoT八代同盟・IoT益田同盟都市間連携、NPO法人ロボットビジネス支援機構(RobiZy)特別会員、幻の銘菓「薏苡仁糖(よくいにんとう)」製造への協力を行いました。

他に、熊本キャンパスでは、学生発のIoT教育キットを専攻科で開発され、小中学生でもわかる導入検証を高専ハカセ塾でも進められています。

本プロジェクトは、分野的にも関係する人が多く、例えば、熊本キャンパスで取り組んでいる、くまもと革新・融合研究会(RIST)や熊本市との取り組み等、同じような、あるいは既に先行した取り組みからも学ぶべきことがまだまだ多くあると感じています。

八代キャンパスは、IoT関連の困りごとに対応できる教職員が各所属に分散しているため、活動の濃度を高めることは容易ではありませんが、一方では社会の様々な現場に近いところに存在しているため、問題や課題に事欠かないとも言えます。

令和2年度もプロジェクトを継続させ、地域社会等と協働しながら、分かり易い成果を一つでも多く積み重ねたいと考えています。

令和2年度の活動報告

令和2年度高専高度化推進経費事業「地域との協働によるIoTを活用した社会実装型研究開発プロジェクト」が採択され、学生主体プロジェクトの基盤作り、プロジェクトの実証実験を成果指標としました。「店舗の換気見える化プロジェクト」、「熊本高専プロジェクト“二酸化炭素測定装置等を作成しコロナ対策に役立てる”」、「栗収穫ロボット開発プロジェクト」、「ソラマメ選果AIの開発プロジェクト」、「キュウリ収穫支援AIの開発プロジェクト」、「環境モニタリングプロジェクト」を実施しました。

令和2年6月8日および10月22日には、氷川町のICT教育担当教職員とZoomで情報交換しました。

令和3年3月17日(水)本校八代キャンパス 一階合同講義室において、本プロジェクトの成果発表会を実施しました。発表テーマは、以下のとおりです。

「地元企業を対象とした品質管理IoTシステムの製作」
令和元年度機械知能システム工学科5年 栗田 健太郎、○田中裕一

「LPWAとマイコンを利用した工場内みまもりIoTシステムの検討」
横場工業株式会社 宮本 公明、○井上 宙

「店舗の換気見える化プロジェクト」
(発表:小田教員、田中教員)

「工作機械の稼働状況モニタリングシステム」
(発表:機械知能システム工学科4年 〇宅島、〇北田、湯治教員)

「ToF距離センサを用いたレーダーユニットの製作」
(発表:機械知能システム工学科4年 〇西、〇西嶌、湯治教員)

「IoT教材の開発と八代C学生への教育実践」
(発表:小島教員)

「K-SEC第5ブロック学生向け講習会報告」
(発表:藤本教員、藤井教員)

「Sigfoxを用いた河川水位計測装置 その2」
(発表:森下教員)

「Wio Terminalを用いたCO2計測」
(発表:森下教員)

協力企業2社3名、協力団体2名、本校コーディネーター1名、学生4名および教員6名が会場参加、Teamsで熊本Cより3名が参加し、9件の発表が行われました。有意義な情報交換ができ、発表会場で遠隔配信もできました。

おわりに

本プロジェクトは、予定どおり本年度末で終了し、次年度からは、新しいプロジェクトに引き継ぎます。新しいプロジェクト名は、DX(デジタルトランスフォーメーション)ネットワークプロジェクト(DXNP)で、全メンバーが、AI、ICT、ロボット、ビッグデータ等を活用したDXを実践し、本学内外にネットワークを形成して、成果を報告するプロジェクトで、期間は2年間(1年間でプロジェクト名も含めて修正有)としています。