寒川水源の湧水を利用した米保冷庫プロジェクト

プロジェクトリーダー 建築社会デザイン工学科 教授 入江 博樹

現地測量風景

環境省の水俣地域の振興事業の支援として水俣市久木野ふるさとセンター愛林館に協力して寒川水源の湧水を利用したエコなシステムの開発依頼がありました。地域協働プロジェクトセンター 田中裕一 教授と機械知能システム工学科 山下徹 准教授にも協力を依頼し、それぞれの研究室の学生らも卒業研究のテーマとして取り組むことになりました。平成30年の5月末には、現地視察と測量や湧水の特性を調査しました。地域の方々も含めた話し合いの結果、米を保管するための保冷庫の冷却に水源の冷水を利用することになりました。

これらの活動の一環として、8月末には、山下准教授による熱工学に関する実験授業「冷たい教室」を地域の小・中学生向けの理科教室として開催しました。

学生らは夏休みを利用して、八代キャンパスで予備実験を行いました。田中研究室の学生らは、水源地から米の保管庫の場所までに冷水を運ぶ送水パイプの材質・形状を決めるための実験を行いました。この実験では、机上だけでは得られない技術的体験ができました。この結果から、限られたコスト内でも十分な性能を有する送水パイプの仕様を決定しました。山下研究室の学生らは、冷水と空気との熱交換装置に関する検討を重ね、効率や流路抵抗などの計測のために複数の熱交換装置を試作しました。検討では安価な材料で組み立てることも考慮しました。その結果、シート式の熱交換装置を自作し、米の保管庫に掛布団のように被せて使用する方法を採用することにしました。 平成31年1月には、地元の建設会社との打ち合わせを行い、上部貯水タンクの設置と保管庫の基礎工事、送水管の敷設工事の方法と時期を決定しました。3月までには、現地での試験送水や冷却実験などを実施する予定です。平成31年度の夏場に保冷庫の状況をIoT/ICTによりモニタして、保冷状況の性能を確認する予定です。

「冷たい教室」の実験風景
送水パイプの予備実験風景
保冷庫水冷システム概念図