い草水耕栽培・早期生育技術開発プロジェクト

生物化学システム工学科 准教授 木原 久美子

1.はじめに

熊本高専八代キャンパスの周辺は、畳表の原料であるイグサの生産地です。国産イグサの生産量の90%以上をこの地域が担っています。しかし、少子高齢化が進む中でイグサの農家数は減少しており、少人数でも生産量を維持出来る方法の開発が望まれています。

2.活動内容

イグサの栽培は通常、露地栽培によって畑で行われています。本プロジェクトでは、栽培環境をコントロールしやすい室内型のイグサ栽培の可能性を探るべく、イグサの水耕栽培に挑戦しています。また、イグサの早期生育技術を開発するために、現在のイグサ栽培はどのような環境で行われているのか、環境要因をデータとして取得し見える化することで、今後の栽培技術開発に活かそうとしています 。

2-1.イグサ栽培における環境要因計測

現在のイグサ畑ではどのような栽培が行われているのかを記録して解析すべく、イグサ農家の協力のもとで、畑内の栽培環境データの取得を進めています(写真上;齊藤郁雄 教授によるイグサ栽培畑への環境計測機器のセットアップ、写真下;齊藤郁雄 教授と田中裕一 教授 地域協働プロジェクトセンター副センター長による計測データの現地での確認作業)。昨年度までに行った、環境計測装置の試作と設置による試験的なデータの取得において問題となった点を改善し、今年度は年間を通じた本格的なデータの取得を初めて開始しました。

2-2.イグサの水耕栽培に影響する要因の検討

イグサの水耕栽培に関係する光条件の一部を解明すると共に、今年度はイグサの生育に影響を及ぼす温度要因について探索すべく、栽培システムを開発中です。

3.おわりに

八代ではイグサの栽培畑があちこちに見られますが、全国的に見るとイグサ畑は珍しい風景です。地域の特産物と原風景を未来でも維持出来るよう、イ業にかかわる研究者・生産農家・加工業者等の多くの人々、行政・地域と協力し、研究をすすめていきたいと考えています。