労働環境改善のための工場内の流れ場解析

プロジェクト期間 令和3年度

リーダー:企画運営部 教授 田中禎一
メンバー:MI-Gr 准教授 山下徹

プロジェクト概要

八代市内に鋳造工場を持つ企業と共同研究を行っており、夏場の労働環境を改善する方法を検討しています。工場内の熱と流れをシミュレーションで再現するとともに、シミュレーション上で労働環境を改善する仮想の対策を行い、その効果を確認します。工場内の実測データを用いて、シミュレーションの妥当性検証を進めるとともに、シミュレーション上で職場の温度・湿度の改善のための方策を検討、実施します。

令和3年度の活動報告

今年度は、まず工場建屋上部に追加の「外気吸気」および「内気排気」換気扇を設置することによって、どれほどの作業環境改善が望めるか、解析から検証をおこないました。解析の結果から、「外気吸気」は工場全体へは温度低下効果がありますが、作業者領域では高層領域の高温空気の吹きおろしで温度が上がる可能性があることが判明しました。一方、「内気排気」では作業者領域での温度低下効果が確認できましたが、梅雨時期の雨天時には排気窓を閉める必要があり、効果が期待できない可能性があることがあきらかとなりました。

上記のように検討された「外気吸気」および「内気排気」だけでは、あまり作業環境効果(温度低下)が得られないことから、①工場内の配線/配管用地下ピットの冷気利用、及び②大風量スポットクーラーを追加利用した方法を検討しました。

その結果、図1に示されるように、内気排気、外気吸気に加え、地下ピット冷気利用、スポットクーラー4台利用が最も作業領域の温度が下がることがわかりました。一方で、実際の地下ピット冷気利用は、臭気の問題もあるため現実的でなく、地下ピット冷気の代替として、大風量エアコンを利用することが現実的な解決策ではないかとの結論となりました。

  • 図1 解析結果(吸排気・地下ピット・スポットクーラー利用)

(今後の展望) 今後は解析と実測値との合わせ込みのために、より高度な解析モデルを選定できるソフトウェアの利用を検討するとともに、解析を通して作業環境改善のための方策を検討していきます。

令和3年度の目標・活動計画

4月~6月にかけて、妥当性検証を行い、その後、労働環境改善の方策の立案とシミュレーションの実施と検証を行います。