微細加工技術を用いた動物細胞の培養基板の開発

生物化学システム工学科 助教 本田 晴香

1.はじめに

細胞培養技術は、再生医療、医薬品や化粧品の安全性試験、有用物質の生産など、幅広い分野で用いられています。一般的には、培養細胞をプラスチックシャーレなどの平面に接着させて培養を行います。しかし近年、細胞が持つ機能を引き出すため、表面に様々な工夫を施した培養基板が開発されています。本プロジェクトでは、八代キャンパス技術・教育センターが有する微細加工技術(高精度マシニングセンター、3Dプリンター)を活用し、より生体に近い環境で細胞を培養できる培養基板の開発を行っています 。

2.活動内容

具体的には、細胞の集合体である「スフェロイド」を形成可能な培養基板の開発を行っています。始めて間もないプロジェクトですが、これまでに以下のような研究テーマにつながっています。

本研究に関わる外部資金獲得状況

  1. 本田晴香、魚類培養細胞スフェロイドの基礎特性評価とそれを用いた水質評価試験への応用、公益財団法人住友電工グループ社会貢献基金、平成30年度~31年度
  2. 本田晴香、低酸素環境が毛乳頭細胞スフェロイドの毛包誘導力に与える効果、科研費研究活動スタート支援、平成27年度~28年度

国内発表等

  1.  H. Honda, K. Yoshida, N. Miyamoto, H. Miyajima, S. Yoshida and Y. Tanaka, Development of culture substrate with microstructures for generating spheroids, 28th Annual Meeting of MRS-Japan 2018, Kitakyushu, 2018(口頭発表)
  2. 本田晴香、古川優輝、吉田圭吾、宮本憲隆、スフェロイド形成基板の作製とヒト由来毛乳頭細胞の培養、熊本高専研究紀要、9、48-54、平成29年度(研究紀要)
  3. 本田 晴香、梅下瑛茄、米村祥世、宮嶋久幸、宮本憲隆、吉田圭吾、田中裕一、吉田修二、バイオアッセイのための動物細胞培養プラットフォームの設計と作製、第27回九州沖縄地区高専フォーラム、久留米、平成29年度(ポスター発表)
  4. 岩本結衣、田上佳奈、本田晴香、動物細胞培養基板の開発と評価、際物[キワモノ]・カフェ@やつしろ、八代、平成29年度(口頭発表)
  5. 本田晴香、古川優輝、効率的に毛乳頭細胞スフェロイドを形成する培養基板の開発、第26回九州沖縄地区高専フォーラム、八代、平成28年度(ポスター発表)
  6. 古川優輝、吉田圭吾、宮本憲隆、本田晴香、微細加工技術を用いた毛乳頭細胞スフェロイド形成方法の開発、化学工学会第48回秋季大会、徳島、平成28年度(ポスター発表)

3.おわりに

これらの研究は、本校の技術・教育センターのスタッフの皆様、及び学生の協力を受けて遂行しています。細胞培養分野においては、生物学の知識や技術のみならず、工学的な観点からの培養環境の設計が不可欠です。今後も、機械・加工・材料といった高専の強みを活かしながら、細胞培養技術に関する研究を継続し、地道に研究成果を重ねたいと思っています。