科目コード | TE510 | ||||
科目名 | 実装工学(Electronics Packaging Engineering) | 単位数 | 2単位 | ||
対象学科 | 情報通信エレクトロニクス工学科 | 対象学年 | 5年 | 開講期間 | 通年 |
科目区分 | 専門応用科目 | 必修・選択 | 選択 | 履修/学修 | 学修 |
授業形式 | 講義 | 規定授業時数(単位時間) | 60 |   | |
教員名(所属) | 伊山義忠(情報通信エレクトロニクス工学科) | 教員室 | 1号棟4階 | ||
使用教科書 | NPOサーキットネットワーク:編著「プリント板と実装技術」日刊工業新聞社 | ||||
参考書 | 大山英典、中林正和、葉山清輝、江口啓「MOS集積回路の設計と製造・信頼性技術」森北出版 進士 昌明「電磁波工学-基礎と応用-」丸善 安達三郎、佐藤太一「電波工学」森北出版 宮内一洋、山本平一「通信用マイクロ波回路」電子情報通信学会(コロナ社) | ||||
科目の位置付けと 関連科目 | 本科目と関連する科目は、電気磁気学TU、電気回路学TU、電子工学 | ||||
科目の概要 | 本科目では、電子機器を実現するうえで不可欠な実装のに関して、関連する技術分野の基礎的な事項を講義する。 まず、分布定数回路の考え方を中心にして、高周波の伝搬と伝搬路や負荷特性の表現式について説明する。 ついで、回路設計の上で重要となる四端子回路網、フィルタ、分布定数回路など,より高度な電気回路理論について説明する。また、高周波回路の解析でよく用いられているスミスチャートについても詳しく説明する。これらの学習を通して,二ポート回路の基礎公式と接続法,フィルタ回路への応用,分布定数回路に関する定性的な知見と定量的解析能力を養う。 さらに、信頼性技術に関わり、集積回路を例にして、その信頼性と評価手法に主眼を置いて説明する。ここでは、信頼性における環境要因の理解に重要となる材料力学と熱伝導について、その基本的な概念を説明する。また、集積回路をとりあげて、実装に関わる後工程についての各々の特徴について説明する。具体的に、半導体デバイスを例として取り上げて、信頼性の定義(国際規格)や信頼性試験方法についての解説も行う。 | ||||
授業方針 | @分布定数回路の基本方程式ならびに伝搬波にかかわる諸性質について説明と計算ができる。 A基本的な四端子網についての行列による表現法について説明と計算ができる。 B応力とひずみについて説明と計算ができる。 C熱伝搬についての基本的な説明と計算ができる。 D信頼性や故障率の定義と概念や、信頼性試験方法が理解し説明できる。 E集積回路の一般的な製作工程のうち後工程が説明でき、その特徴が理解できる。 FMOS集積回路の故障、例えば、エレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーション等の特性や原因を理解し説明できる。 G電波の送受信装置において重要となる性能を理解し、基本的な通信用高周波コンポーネントならびにそこで用いられる各種パッケージや実装基板の特徴について説明できる。 |
授業項目 | 時数 | 達成目標(習得すべき内容) |
1.ガイダンス | 実装工学の技術的な位置付け、授業内容概要、学習方法を理解する。 | |
2.分布定数回路の基本方程式と分布定数線路の解析 | 線路の場合についての基礎方程式を理解し、その導出ができる。 伝搬波に関わる各種定数相互の関係を理解し、それら定数を用いて回路中の電圧、電流の状態を計算できる。 基礎方程式から主要なパラメータを導出できる。さらに、整合器、バランなどへ応用できることを理解し説明できる。 | |
3.高周波伝送路とスミスチャート | 各種伝送路の形式と特質、ならびに、導波管内の電磁界とモードを理解し説明できる。 スミスチャートの原理のほかに用途まで理解した上で、基本的な実使用ができるようになる。 | |
4.四端子網の基礎公式・等価回路と変換 | 四端子回路網の合成・分解、ならびに回路網を形成する基本的な回路構成などについて説明と計算ができる。 四端子回路網の行列による表現法,各種パラメータの意味、などについて説明と計算ができる。 | |
5.材料力学および機械材料の基本概念 | 材料力学における基本的な概念である、圧縮応力、引張応力、せん断応力、ならびに応力とひずみとの関係について理解し、実装との関連において説明できる。また、単位系を理解したうえで、応力とひずみについての計算ができる。 | |
6.各種伝熱形式における熱移動 | 熱移動における基本的な概念である、熱伝導、対流、放射、について理解し、実装との関連において説明できる。また、単位系を理解したうえで、熱抵抗を用いた伝熱量についての計算ができる。 | |
7.信頼性の定義と内容 | 半導体デバイスや電子装置などについての信頼性、故障率等の定義を理解し説明できる。 故障率などの信頼性項目についての計算ができる。 | |
8.集積回路の製作方法 | バイポーラ集積回路とMOS集積回路の仕組みや電気的特性を理解すると同時に、後工程を中心とした製造方法が理解できる。併せて、それらの特徴(利点と欠点)が理解し説明できる。 | |
9.集積回路の故障原因 | MOS集積回路の故障、例えば、エレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーション等の特性や原因を理解し説明できる。 | |
10.信頼性試験と故障への対策 | 半導体デバイスや電子装置などについての主要な信頼性試験方法を理解し説明できる。 故障対策としての設計方法や製造方法等を理解し説明できる。 | |
11.マイクロ波回路の実際 | 各種システムに用いられるマイクロ波受動/能動回路の概要を理解し説明できる。 | |
ルーブリック | |||
評価項目 | 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
高周波回路の解析 | 分布定数回路により高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できる。さらに、伝送線路を介した整合のとり方について説明できる。 | 高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できる。さらに、高周波領域における回路定数の測定原理について説明できる。 | 高周波領域での伝送線路の理論的な取り扱いを説明できない。また、高周波領域における回路定数の測定原理について説明できない。 |
材料力学の基本 | 形状の異なる材料における、複雑な応力ひずみ関係、ひずみの経時変化について理解し説明できる。また、断面形状が一様でない部材の応力、ひずみを計算できる。 | 応力とひずみについて理解し説明できる。また、断面形状が一様な部材の応力、ひずみを計算できる。 | 応力とひずみについて説明できない。また、応力、ひずみを計算できない。 |
熱解析の基本 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式を理解して説明できる。さらに、伝熱量を計算できる。 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式について説明できる。 | 熱伝導、熱伝達、熱放射における伝熱形式について説明できない。 |
信頼性技術 | 信頼性工学の重要性について理解し、説明できる。また、信頼性技術に関する用語について十分な説明ができる。 | 信頼性工学の必要性について説明できる。また、基本的な信頼性技術に関する用語について説明ができる。 | 信頼性工学の必要性について説明できない。また、基本的な信頼性技術に関する用語について説明ができない。 |
評価方法及び 総合評価 | 定期試験全4回の点数と授業内容に関連した演習・課題・レポート点とを70%と30%に配分して評価し、60%以上の得点率で目標達成とみなす。レポート点数は、未提出は0点として、記述内容の独創性、図表を用いた表現方法、文章のまとめ方、参考文献引用の適切さ等を総合的に評価する。 |
学習方法 | 講義だけではなく、演習とレポートを通じ理解を深める。特に、応用を意識して、継続的に学習することが重要である。 各授業項目の自学学習のためにレポート課題および演習問題を提供する。レポート課題は提出期限を勘案して評価する。演習問題に関しても評価に加味するので、実力養成のためであるので、家庭学習の中でしっかり学んで貰いたい。 |
学生への メッセージ | 近年、さまざまな分野での高周波数化が進んできています。授業をしっかりと受講する中で、専門用語や実際の応用についての知見を身に着けるようにしていってください。分布定数回路の解析では連立線形微分方程式を扱いますが,電子工学系技術者にとっては重要です。質問は授業中、放課後および空き時間などに随時応じます。 |
学修単位への対応 | ※ 本科目は90分の授業に対して、90分程度の自学学習が課せられます。 |
本校教育目標との対応 | JABEE学習教育目標との対応 |