2015年度シラバス(熊本高等専門学校 熊本キャンパス)
科目コードTE503
科目名電磁波工学 単位数2単位
対象学科情報通信エレクトロニクス工学科対象学年5年開講期間通年
科目区分基盤科目必修・選択必修履修/学修学修
授業形式講義規定授業時数(単位時間)60  
教員名(所属)
松田豊稔(情報通信エレクトロニクス工学科)教員室
1号棟3階
使用教科書
松田、宮田、南部共著「電波工学」コロナ社
参考書
吉川忠久著「1・2陸技受験教室3無線工学B」東京電機大学出版局
若井登著「電波ってなあに」電気通信振興会
後藤尚久著ブルーバックス「アンテナの科学」講談社
安達三郎著「電磁波工学」コロナ社
科目の位置付けと
関連科目
電波による無線と有線による信号伝送の仕組みについて考察する科目であり、信号伝送工学と通信システム工学に関連している。(陸上無線技術士の無線工学Bの内容である)
科目の概要無線工学の基盤技術であるアンテナと電波伝搬(伝送路や大気中を伝わる電波の形態や特性)について講義し,電波(特に平面波)及びアンテナなど高周波素子に関する理解を深め,無線通信に関する基本的な考え方と基礎的知識の習得を目的とする.
授業方針1. 分布定数理論を用いて伝送線路の電圧と電流が導出でき,伝送線路の基本特性及び整合回路が理解できている.
2. 電波を電磁波として定式化し,平面波を数式表現し,各種媒質中の平面波が伝搬する様子を理解している.
3. アンテナによる電波の放射や受信の仕組み(考え方)を理解し,同時に実効長等のアンテナの性能を表す諸量の計算法や使い方を習得している.
4. 実際に用いられている代表的なアンテナに対して,その動作機構や主な特性を調べることができる.また,アンテナの利得や指向性パターンなど高周波計測に関する知識がある.
5. 電波が空中や伝送路を伝わる様子や特性を理解し,電波の各種伝搬様式を説明できる.

授業項目

時数

達成目標(習得すべき内容)

ガイダンス
1
無線工学システムのイメージを理解し,本講義で学習する項目を知る.
2. 伝送線路の基礎
9
給電線上の電圧と電流を分布定数理論に用いて導出でき,定在波比やインピーダンスなど伝送線路に関する諸量を計算できる.
電磁波の基礎
5
電磁波の基本法則(Maxwellの方程式)を理解し,平面波を導くことができ,各種媒質中の平面波が伝搬する様子を説明できる.
各種伝送線路
7
平行二線や同軸ケーブル,そして導波管による電波伝送を説明できる.整合回路の働きと仕組みを説明できる.
アンテナの基礎-1
8
微小ダイポールからの電波の放射を計算でき,放射特性を表す諸量を理解している.半波長アンテナの放射特性が説明できる.
アンテナの基礎-2
10
アンテナの利得の定義を理解し,基本的なアンテナの利得が計算できる.受信アンテナの仕組みを理解している.フリスの伝達公式を導くことができる.アンテナの配列について定性的に説明できる.
アンテナの実例-1
5
線状のアンテナ(半波長アンテナ,垂直アンテナ,ループアンテナ,ヘリカルアンテナ)の実際の使い方や特性を理解している.実際に利用されている
アンテナの実例-2
10
アレーアンテナ,平面アンテナ,開口面アンテナの動作原理及び放射特性を理解している.アンテナを周波数,構造,特性等により分類できる.
アンテナに関する計測
2
アンテナの利得や指向性パターンなど高周波計測に関する知識がある.
電波伝搬
3
電波の伝搬経路による分類(地表波,空間波,上空波)ができ,それぞれの伝搬様式を理解している.無線通信システムの構成について理解している。

ルーブリック

評価項目

理想的な到達レベルの目安

標準的な到達レベルの目安

未到達レベルの目安

分布定数理論を用いて伝送線路の電圧と電流が導出でき,伝送線路の基本特性及び整合回路が理解できている. 電信方程式を導き,その解として電圧と電流を求め,伝送線路における電圧と電流の伝搬特性(分布定数理論)を理論的に把握している.
 また,伝送特性を示す諸量(波長,速度,伝搬定数,特性インピーダンス,反射係数など)の物理的意味を理解し,線路の特性評価や設計に利用することができる.
 伝送線路の電圧と電流を波動として理解し,集中定数線路との違いを定性的に把握している.
 そして,与えられた条件から伝送特性を示す諸量(波長,速度,伝搬定数,特性インピーダンス,反射係数など)を計算して,線路の伝搬特性を定量的に評価することができる.
 分布定数理論,つまり伝送線路の電圧と電流を波動として理解することができていない.
 伝送特性を示す諸量(波長,速度,伝搬定数,特性インピーダンス,反射係数など)の式が与えられても,その物理的意味が分からず,伝送特性の評価に利用できない.
電波を電磁波として定式化し,平面波を数式表現し,各種媒質中の平面波が伝搬する様子を理解している. Maxwellの方程式から波動方程式を導き,その解として平面波の数式表現ができ,その数式表現から電波の伝搬に関する基本的性質(媒質定数,波長,速度,偏波,ポインチング電力)を定量的に把握している.
 また,各種媒質(真空,誘電体,導体,完全導体)中での平面波が伝搬する様子を理解している.
 電波を電磁波つまり電界と磁界の振動を伴う波動として理解し,平面波の数式表現から,電波の伝搬に関する基本的性質(媒質定数,波長,速度,偏波,ポインチング電力)の意味を説明することができる.
 また,各種媒質(真空,誘電体,導体,完全導体)における媒質定数の違いを理解している.
 電波を電磁波つまり電界と磁界の振動を伴う波動として理解できていない.そして,電波の伝搬に関する基本的性質(媒質定数,波長,速度,偏波,ポインチング電力)の数式表現が与えられても,その物理的意味が分からず,伝搬特性の評価に利用できない.
 各種媒質(真空,誘電体,導体,完全導体)の媒質定数による違いを理解していない.
アンテナによる電波の放射や受信の仕組み(考え方)を理解し,同時に実効長等のアンテナの性能を表す諸量の計算法や使い方を習得している. 線状アンテナ上での電流分布を理解し,アンテナからの電波放射のメカニズム及び考え方を習得している.
 実効長や利得などアンテナの特性や性能を表す諸量について,その量を定義する必要性を理解し,アンテナの特性評価に活用することができる.
 ダイポールアンテナからの電波放射を理解し,その応用(展開)として半波長アンテナなど線状アンテナからの電波放射を説明することができる.
 実効長や利得などアンテナの特性や性能を表す諸量の物理的意味を理解し,アンテナの特性評価に利用できる.
 ダイポールアンテナや半波長アンテナなど基本的な線状アンテナからの電波放射を理解することができない.
 実効長や利得などアンテナの特性や性能を表す諸量の数式表現が与えられても,アンテナの特性評価に利用することができない.
実際に用いられている代表的なアンテナに対して,その動作機構や主な特性を調べることができる.また,アンテナの利得や指向性パターンなど高周波計測に関する知識がある.電波が空中や伝送路を伝わる様子や特性を理解し,電波の各種伝搬様式を説明できる. 代表的なアンテナの動作機構や放射特性のそれぞれを学習し、またその分類を通して,アンテナを俯瞰に把握する視点を有している.
 アンテナの利得や指向性パターンの計測法を通して,高周波計測の独自性を理解している.
 無線通信の基本的なシステム構成を理解し,電波の各種伝搬様式を説明できる.
 代表的なアンテナに対してその動作機構や放射特性の特性をそれぞれ理解し,また動作機構や放射特性からアンテナが分類されることを知っている.
 アンテナの利得や指向性パターンの計測など高周波計測の具体例に関する知識がある.
 無線通信の基本的なシステム構成を理解し,電波の各種伝搬様式を説明できる.
 代表的なアンテナに対してその動作機構や放射特性の特性を把握することができない.
 伝送線路やアンテナの特性(利得や指向性パターン)など,高周波計測の独自性が理解できていない.
電波の各種伝搬様式(フリスの伝搬公式,地上波伝搬,対流圏伝搬,電離層伝搬)が理解できていない.
評価方法及び
総合評価
前期中間,前期期末,後期中間,後期期末の四半期毎に評価し,その内訳は定期試験と小テスト(レポートを含む)がそれぞれ80%と20%である.四半期の評価の平均点をもって学年成績とし,学年成績が60%以上の得点率で目標達成とする.小テストを受験しなかった場合(またはレポート提出が遅れた場合)は,原則としてその小テストの点数は0点とする.
学習方法○ 復習を中心に、授業の重要事項の確認及び理解できなかった部分の検討及び調査を行うこと。
○ 授業で配布されるプリントは、重要事項の整理や基本事項の問題が含めれているので、必ず学習すること。
学生への
メッセージ
本講義の内容は,無線従事者の国家試験(第一,二級陸上無線技術士)の無線工学Bと関連する.また,関連する基礎科目は,電磁気学,電気回路学,信号伝送工学であり,本講義の予習や復習にこれらの科目の学習を勧める.
質問は,講義中を含めて随時, 直接あるいはメール(tmatsu@kumamoto-nct.ac.jp)で受付ける.
学修単位への対応本科目は90分の授業に対して、放課後・家庭で90分程度の自学自習が課せられます。この時間で、授業の予習、復習、レポート・課題作成それから試験勉強をしてください.
本校教育目標との対応
(3)
JABEE学習教育目標との対応
D-1(◎)