2015年度シラバス(熊本高等専門学校 熊本キャンパス)
科目コードTE201
科目名基礎電気学U (Basic Electricity II) 単位数3単位
対象学科情報通信エレクトロニクス工学科対象学年2年開講期間通年
科目区分基盤科目必修・選択必修履修/学修履修
授業形式講義規定授業時数(単位時間)90  
教員名(所属)
松田豊稔(情報通信エレクトロニクス工学科) 角田 功(情報通信エレクトロニクス工学科)教員室
1号棟3階2号棟2階
使用教科書
岡部洋一他2名著「電気基礎2」オーム社

授業で配布するプリント(重要事項,演習問題)
参考書
宇都宮敏男「電気基礎(上)」コロナ社宇都宮敏男「電気基礎(下)」コロナ社
科目の位置付けと
関連科目
1年次に学んだ基礎電気学Tと関連している。また、次年度以降に学ぶ電気回路T、電気回路U、電気磁気学T、電気磁気学U、電子計測など専門科目の基礎科目となる。
科目の概要 本科目では、(1) 正弦波交流(単振動,正弦波,振幅,周波数,位相)と、その数式及び観測波形による取扱い;(2)基本回路素子(R L C)における正弦波交流の性質及び働き;(3)正弦波交流の記号法(複素表示,ベクトル表示、インピーダンス、複素電力)と、記号法を用いた簡単な交流回路の計算;(4)正弦波交流の基本的な実験やシミュレーションによる交流回路の理解。
授業方針 本科目は、エレクトロニクス系科目の基礎として位置付けられるので、3年次以降での学習で使えるように、交流回路の基本事項(諸量の定義、公式の導出とその考え方)の習得に重点を置いて授業を行う。演習問題を数多く解いて交流回路に慣れ、さらに実験等ではできるだけ実例に関連させた内容とする。また、電気回路の基本的語句(量)に対して英語による表記ができるようにする。

授業項目

時数

達成目標(習得すべき内容)

1. ガイダンス
1
 科目の概要、授業方針、成績評価について説明を受ける。
2. 直流回路の復習
3
 電気回路の基本量(電荷,電流,電圧,抵抗)の定義を理解し,基本法則(オームの法則,キルヒホッフの法則)を使って基本的な直流回路の解析ができる。
3. 正弦波交流
8
 正弦波交流を表す量(角波数、角周波数、周期、振幅、実効値、位相)の意味を理解している。
 横軸を位相または時間としたときの正弦波交流の波形を描くことができる。また、正弦波交流の波形から、その数式表現を求めることができる。
 正弦波交流の位相の遅れ、進みを数式及び波形から求めることができる。
 R, L, Cのみの交流回路の電圧,電流の関係を瞬時値で表すことができる。
4.正弦波交流の複素表示
8
 正弦波交流(電流、電圧)の瞬時値が与えられたときに、その複素表示とベクトル表示ができる。逆に、複素表示またはベクトル表示から、その瞬時値を求めることができる。
 R, L, Cのみの交流回路の電圧,電流の関係を複素表示を用いて表すことができる。
 正弦波交流(電流、電圧)のベクトル図について理解している。
5. 記号法による交流回路の計算T 
16
 インピーダンス(抵抗、リアクタンスを含む)の定義を理解し、そのベクトル図を回路解析に利用できる。
 RL,RC, RLC など基本的な交流回路の記号法による解析ができる。
 RLC直列回路の共振を、電流と電圧の振舞から定性的に、またベクトル図や複素表示から定量的に説明することができる。
6. 記号法による交流回路の計算U
18
 RL,RC, RLC を組み合わせた交流回路の記号法による解析(ベクトル図による解析を含む)ができる。
 RLC並列回路やRLCを組み合わせた回路の共振について、定量的に説明することができる。
7. 交流電力
16
 有効電力、無効電力、皮相電力、力率の定義を理解し、直流電力と交流電力の違いを知っている。
 複素電力の計算ができる。また、回路の複素電力とインピーダンスの関係を把握している。
 基本的な交流回路の複素電力を計算することができる。
5.交流回路に関する基礎実験と演習
20
 基本的な実験を通して正弦波交流や交流回路を理解し、実験方法や実験装置(オシロスコープなど)の取扱いに慣れる。
 表計算ソフトを用いた演習(シミュレーション)により正弦波交流や交流回路を理解する。

ルーブリック

評価項目

理想的な到達レベルの目安

標準的な到達レベルの目安

未到達レベルの目安

 正弦波交流(単振動,正弦波,振幅,周波数,位相)の意味と、その数式及び波形による取扱い 正弦波交流を表す諸量(単振動,正弦波,振幅,周波数,位相)の意味を理解し、正弦波交流の瞬時値(波形を含む)と複素表示の関係を把握している。
 また、正弦波交流の位相関係を波形、瞬時値、複素表示、ベクトル図においてそれぞれ理解している。
 左記の理想的な到達レベルに同じ。 正弦波交流を表す諸量(単振動,正弦波,振幅,周波数,位相)の相互間の関係を理解していない。交流波形の瞬時値(波形を含む)と複素表示の関係が理解できていない。
 正弦波交流の位相関係(遅れ、進み、同相)が分かっていない。
 基本回路素子(R L C)における正弦波交流の性質及び働き 基本回路素子(R L C)における正弦波交流(電流、電圧)の性質と働きを理解し、それをインピーダンスを用いて表現することができる。
 電流や電圧そしてインピーダンスのベクトル図から、その回路や素子の性質や働きを調べる方法を習得している。
 基本回路素子(R L C)における電流と電圧の関係を理解し、それらのインピーダンス(R,jωL,1/jωC)を覚えている。
 与えられた電流や電圧そしてインピーダンスのベクトル図から、その回路や素子の性質や働きを調べることができる。
 基本回路素子(R L C)における電流と電圧の関係を理解しておらず、それらのインピーダンスの意味が分かっていない。
 電流や電圧そしてインピーダンスのベクトル図の意味が理解できておらず、回路の解析に利用することができない。
 正弦波交流回路の記号法による解析
 オームの法則やキルヒホッフの法則を用いて、RL,RC, RLC やそれら組み合わせた交流回路の記号法による計算(電圧、電流、インピーダンス、複素電力)ができ、その回路の性質や働きを調べることができる。 RL,RC, RLC など基本的な交流回路の記号法による計算(電圧、電流、インピーダンス、複素電力)ができる。
 解析手順が与えられたときに、RL,RC, RLC を組み合わせた回路の記号法による計算ができる。
 記号法が理解できていないために、RL,RC, RLC など基本的な交流回路の解析(電圧、電流、インピーダンス、複素電力)ができない。
 
 
 正弦波交流の基本的な実験とシミュレーションによる交流回路の理解 正弦波交流の基本的な実験を通して、オシロスコープや交流電源など計測器の取扱いができ、自ら交流回路を組立て、その電流や電圧の波形観測ができる。
 表計算ソフトを用いた演習(シミュレーション)により正弦波交流や交流回路を理解する。
 正弦波交流の基本的な実験を通して電流や電圧の波形を観測し、オシロスコープや交流電源など計測器の取扱いができる。
 与えられたパラメータのもとで表計算ソフトを用いて正弦波交流や交流回路の電圧や電流を求められる。
 正弦波交流の基本的な実験において、計測器の使用法など分からずに電流や電圧の波形を観測することができない。
 与えられたパラメータのもとで表計算ソフトを用いて正弦波交流や交流回路の電圧や電流が求められない。
評価方法及び
総合評価
 定期試験,小テスト,実験レポート等を総合して評価する.評価の割合は定期試験80%,小テスト・実験・ポートを20%とする.60点以上の評価で目標達成とする.各定期試験の評価が6割に満たない学生に対しては,追試験やレポートを課すことがある.実験レポートの提出期限は1週間を原則とし,提出遅れは減点する.未実施の実験項目や未提出のレポートがある場合は総合評価を0点とする.
学習方法 講義内容の理解が第一である.その上で教科書の演習問題が解けるように自主学習が必要である.
学生への
メッセージ
 授業・試験・実験レポート等に関する全ての連絡事項に注意してほしい.特に,授業計画などの変更通知は,必要に応じて,授業中または教室の掲示板で行われるので注意が必要である. 本科目は,高学年で学ぶ電子情報系の専門科目の基礎であり,専攻科・大学編入試験,就職試験には必要不可欠な知識であり,予習・復習を十分行うことが必要である.質問は授業中や授業の直後はもちろんのこと,いつでも受け付けているので,休み時間や放課後に直接教員室に来て気軽に質問してほしい.
学修単位への対応該当なし
本校教育目標との対応
(3)
JABEE学習教育目標との対応
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