2015年度シラバス(熊本高等専門学校 熊本キャンパス)
科目コードAN205
科目名光情報処理工学(Optical Information Processing Engineering) 単位数2単位
対象学科電子情報システム工学専攻対象学年2年開講期間前期
科目区分電子通信系必修・選択選択履修/学修学修
授業形式講義規定授業時数15  
教員名(所属)
松田 豊稔(情報通信エレクトロニクス工学)教員室
1号棟3階
使用教科書
配布プリント(講義テキストで,式の導出や演習問題の解説そして講義に関連した実験やシミュレーションについて記述したもの.)
参考書
黒川隆志 滝沢国治編著「光情報工学」コロナ社吉村武晃著「光情報工学の基礎」コロナ社応用物理学会編/辻内順平・一岡芳樹・峯本工共著「光情報処理」応用物理学会編
科目の位置付けと
関連科目
本教科の理論的な学習において,電磁気学及び信号処理の基礎を必要とする.
科目の概要光情報処理工学は,コンピュータに代表される情報処理システムにおいて,光をキャリアとして情報を入力,処理,記憶・記録,そして出力する技術である.本講義では,光情報処理工学の基礎として,光が有する基本的性質に関する理解を深めるとともに,光情報処理工学において重要な光学素子や光デバイスの原理や仕組みについて学習する.講義では,理論的な説明に加えて,できるだけ実演やコンピュータシミュレーションを取入れ,定性的な理解と実践的な能力が養成できるように努める.
授業方針1.光の物理的な性質(波動性と量子性)及び心理的な性質(色)について理解させ,光を情報伝達のキャリアとして捉える視点を養成する.2.波動光学に基づく光の数式表現を導き,光の波動的性質を定量的に理解させる.3.画像情報に関する基礎的事項を光学的な視点から理解させる.4.基本的な光学素子や代表的な光学装置についてそのメカニズムや動作原理の学習を通して,光情報処理技術についての基礎的な考え方の学習を行う。

授業項目

時数

達成目標(習得すべき内容)

1.ガイダンス 
  Guidance
2.情報処理システムと光
Information processing system and Optics
1
 光が情報処理システムの中でどのように利用されているかを説明できる.
 光が有する基本的性質(波動性、粒子性、心理的要因)に対する認識がある。
3.光の波動的性質
Wave theory of light based on electromagnetic waves
2
 光の波動的性質として,Maxwellの方程式から波動方程式を導き,平面光の数式表現を求める.そして、各種媒質(真空、誘電体、金属)中での平面光の伝搬(波長,伝搬定数,波数ベクトル、ポインチング電力)の定量的な取扱いができる.
4.光の波動的性質の応用
Applications of wave properties of light
7
 平面光の数式表現から,その基本的性質(偏光,回折,干渉,散乱)を説明し,その応用例(実用例)を知っている.
 ・偏光とその応用について具体例を挙げて説明できる.
 ・フレネルの反射係数からブルースタ角、全反射について説明できる。
 ・スリットによる回折と分散素子の設計ができる.
 ・液晶とその応用として液晶ディスプレイについて説明できる。
 ・ホログラフィーの原理を理解している。
5.画像情報の光学的考察
Image information from optical points of view

2
 画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)の意味を答えられる.
 光の明るさと色の定量化の方法を解説書を用いて説明できる.
 画像情報入力装置の基本構成を説明することができる.

6.光学素子・光学装置の基礎
 Introduction to optical elements and optical devices
3
 光電変換と電光変換を利用したデバイスの基本的な仕組みを定性的に説明できる.
 CDやDVDの構造を知り、その再生原理を定性的に説明できる.
 光を利用した素子や装置を光学的な観点から分類する.

ルーブリック

評価項目

理想的な到達レベルの目安

標準的な到達レベルの目安

未到達レベルの目安

光の波動的性質の理解 Maxwellの方程式から波動方程式を導き,各種座標系における変数分離解の導出法を知っている(解説書をもとに導出ができるレベル)。
 各種媒質(真空、誘電体、金属)中での平面光の伝搬(波長,伝搬定数,波数ベクトル、ポインチング電力)の定量的(数式による)な取扱いができる.
 Maxwellの方程式から波動方程式を導き,平面波の導出ができる。
 平面波の数式表現から,各種媒質(真空、誘電体、金属)中での平面光の伝搬(波長,伝搬定数,波数ベクトル、ポインチング電力)について説明することができる.
 2階の微分方程式であある波動方程式を解くことができない。
 平面波の数式表現の物理的意味(電界と磁界の波動)が理解できていない。
 平面光の伝搬(波長,伝搬定数,波数ベクトル、ポインチング電力)の意味を説明することができない.
光の波動的性質 平面光の数式表現から,光の基本的性質(偏光,回折,干渉,散乱)を説明し,その工学的応用(実用例)の原理やメカニズムについて、定量的な観点から説明することができる.
 
 平面光の数式表現から,光の基本的性質(偏光,回折,干渉,散乱)を説明し,その工学的応用(実用例)の原理やメカニズムについて、定性的に説明できる.  平面光の数式表現から,光の基本的性質(偏光,回折,干渉,散乱)を説明できない.
 光の工学的応用(実用例)の原理やメカニズムについて、定性的に説明することができない.
画像情報の光学的考察 画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)、光の明るさと色の定量化について光学的な視点から考察できる.
 画像情報入力装置の基本構成を説明することができる.
 画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)、光の明るさと色の定量化についてを解説書をもとに説明できる.
 画像情報入力装置の基本構成を説明することができる.
 画像情報に関する基礎的事項(コントラスト,階調,解像度,光学伝達関数,サンプリング,エリアシング,量子雑音)を理解しておらず解説書があっても説明できない。
 光の明るさと色の定量化について理解していない.
光学素子・光学装置の基礎 光学素子や光学装置など光を利用した情報処理技術について,その原理・メカニズム・特性を興味を持ち,実際に調べる能力がある. 光電変換と電光変換を利用したデバイスの基本的な仕組みを定性的に説明できる.
 CDやDVDの構造を知り、その再生原理を定性的に説明できる.
 授業で学習した光に関する知識や考え方を、実際に利用されている光技術と結び付けられない。
評価方法及び
総合評価
【評価方法】筆記試験(定期試験)及び課題のレポート(小テストを含む)で評価する。【総合評価】定期試験(70%)と該当期間中に実施したレポート(小テストを含む)の総合点(30%)で評価し,60%以上で目標達成とみなす.なお,期日が指定されたレポートの提出が遅れた場合(または小テストを受験しなかった場合)は,原則としてそのレポート(小テスト)の点数は0点とする.
学習方法○ 講義では電磁波や光エレクトロニクスに関する基礎的知識を有することが望ましいが,これらの予備的知識が無くても各自の予習及び復習により講義を理解することができるように配慮する.
学生への
メッセージ
○大学院への進学や光学関係の仕事を希望する学生への受講をすすめる.
○質問は、講義中を含めて随時, 直接あるいはメール(tmatsu@kumamoto-nct.ac.jp)で受付ける.
学修単位への対応本科目は1単位あたり30時間程度の自学自習が求められます.それに対応する課題(予習、復習、レポートを含む)を課す.
本校教育目標との対応
 (3)
JABEE学習教育目標との対応
D-1(○)