2015年度シラバス(熊本高等専門学校 熊本キャンパス)
科目コードAN203
科目名数値計算論(Numerical Calculation) 単位数2単位
対象学科電子情報システム工学専攻対象学年2年開講期間前期
科目区分専門基礎必修・選択選択履修/学修学修
授業形式講義規定授業時数15  
教員名(所属)
村上 純(人間情報システム工学科)教員室
3号棟2階
使用教科書
G.ストロング(山口昌哉監訳、井上昭訳)『線形代数とその応用』産業図書
参考書
森正武、名取亮、鳥居達生『数値計算』岩波書店
科目の位置付けと
関連科目
本科の数学(線形代数)や数値計算論に続く科目で、数理的な応用へとつながるものと位置付けられる。 
科目の概要工学的な分野では,数式的に解くことのできない解を求める必要があることが多い.このような場合には,計算機を利用して数値的に解を計算する手法がよく用いられる.この手法のことを数値計算法と呼び、多くのアルゴリズムが考えられている。この科目では,それらの基礎となる線形代数から始めて、連立1次方程式の求解法、行列の固有値の計算法などについて講義する。実際にそれらのプログラムを作成して計算を行う課題を与え、演習を行わせる。
授業方針1.LU分解などの行列の分解法を理解し、プログラム作成や計算を行うことができる。
2.線形代数の基本概念および連立1次方程式の基本理論が理解でき、説明することができる。
3.固有値の計算法を理解し、プログラム作成や計算を行うことができる。

授業項目

時数

達成目標(習得すべき内容)

1.Gaussの消去法1、LU分解プログラム作成
(1.Gaussian elimination)
1
行列の表記法、LU分解が理解でき、分解プログラムが作成できる。
2.Gaussの消去法2、行の交換を伴うLU分解プログラム作成
(2.Gaussian elimination with row exchange)
1
行の交換、逆行列の計算が理解でき、行の交換を伴うLU分解プログラムが作成できる。
3.連立1次方程式の理論1、行列のランク計算プログラム作成
(3.Theory of linear equations 1)
1
ベクトル空間と部分空間、未知数nの方程式mの解が理解でき、ランク計算プログラムが作成できる。
4.連立1次方程式の理論2
(4.Theory of linear equations 2)
1
線形独立、基底、次元、基本部分空間、ベクトルおよび部分空間の直交性が理解でき、演習問題が解ける。
5.正射影と最小2乗法1
(5.Projections and least squares 1)
1
部分空間の上への射影と最小2乗近似が理解でき、演習問題が解ける。
6.正射影と最小2乗法2
(6.Projections and least squares)
1
直交基底、直交行列、Gram-Schmidtの直交化が理解でき、練習問題が解ける。
7.QR分解プログラム作成
(7.QR decomposition)
1
行列のQR分解プログラムが作成できる。
8.疑似逆行列と特異値分解
(8.Pseudoinverse and singular value decomposition)
2
疑似逆行列と特異値分解が理解でき、練習問題が解ける。
9.固有値と固有ベクトル1
(9.Eigenvalues and eigenvectors 1)
1
固有値と固有ベクトルの概念、行列の対角化が理解でき、練習問題が解ける。
10.行列のノルムと条件数、固有値の計算1
(10.Norm and condition number of matrices, Computatio of eigenvalues 1)
1
行列のノルムと条件数、QRアルゴリズムが理解でき、練習問題が解ける。
11.QRアルゴリズムによる固有値計算プログラム作成
(11.Computation of eigenvalues by QR algorithm)
1
QRアルゴリズムによる固有値計算プログラムが作成できる。
12.固有値の計算2
(12.Computation of eigenvalues 2)
1
べき乗法、逆べき乗法が理解でき、べき乗法を用いた固有値計算プログラムが作成できる。
13.逆べき乗法による固有ベクトル計算
(13.Computaion of eigenvectors by inverse power method)
1
逆べき乗法による固有ベクトル計算法が理解でき、プログラムが作成できる。
14.固有値と固有ベクトル2
(14.Eigenvalues and eigenvectors 2)
1
スペクトル定理、主成分分析が理解でき、練習問題が解ける。
15.主成分分析の応用
(15.Principal component analysis)
1
主成分分析の考え方が理解でき、実際の問題に適用できる。

ルーブリック

評価項目

理想的な到達レベルの目安

標準的な到達レベルの目安

未到達レベルの目安

LU分解LU分解の考え方を理解して説明することができ、練習問題が解け、正確に動作するプログラムを作成することができる。LU分解の考え方が理解でき、練習問題が解け、そのプログラムを作成することができる。LU分解の考え方が理解できず、練習問題も解けない。また、そのプログラムを作成することができない。
連立1次方程式の理論連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理を理解して説明でき、練習問題を正しく解くことができる。連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理が理解でき、練習問題を解くことができる。連立1次方程式について、4つの基本部分空間とその間の写像に関する基本定理が理解できず、練習問題を解くことができない。
最小2乗法とQR分解射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方を理解して説明でき、練習問題が解け、さらに正確に動作するQR分解のプログラムを作成するとことができる。射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方が理解でき、練習問題が解け、さらにQR分解のプログラムを作成するとことができる。射影、最小2乗法、Gram-Schumidtの直交化の考え方が理解できず、練習問題も解くことができない。また、QR分解のプログラムを作成するとこともできない。
QR法による固有値計算QRアルゴリズムを理解して説明でき、練習問題が解け、正確に動作する固有値計算のプログラムを作成することができる。さらに、逆べき乗法により固有ベクトルを正しく求めることができる。QRアルゴリズムが理解でき、練習問題が解け、固有値計算のプログラムを作成することができる。QRアルゴリズムが理解できず、練習問題を解くことができない。また、固有値計算のプログラムを作成することができない。
評価方法及び
総合評価
【評価方法】演習レポートで評価する。【総合評価】講義中に出した課題および演習のレポートをもとに評価を行う。6割以上の得点で合格とする。出題時に設定されたレポートの期限は厳守するものとし、未提出の場合の評価は0点とする。自学学習は講義の復習および演習レポート作成の時間に充てるものとする。
学習方法ベクトル、行列などの数学の基礎知識が必要で、これらを十分に復習して受講することが望ましい。自学学習は講義の復習および演習レポート作成の時間に充てるものとする。本科の数学(線形代数)や数値計算論に続く科目で、数理的な応用へとつながるものと位置付けられる。
学生への
メッセージ
行列に関する数値計算法を主に線形代数の見方で学びます。工学の基礎として重要な考え方と思います。なお、授業の一部で英文テキストを使用します。
学修単位への対応1単位あたり30時間程度の自学自習が求められます。授業の演習問題やレポート作成の時間などに充てるものとします。
本校教育目標との対応
(3)
JABEE学習教育目標との対応
B-2(○)