2014年度シラバス(熊本高等専門学校 熊本キャンパス)
科目コードTE405
科目名電子回路学U(Electronic Circuits U) 単位数2単位
対象学科情報通信対象学年4年開講期間通年
科目区分専門基礎科目必修・選択必修履修/学修学修
授業形式講義規定授業時数60実時間数50
教員名(所属)
大田 一郎(情報通信エレクトロニクス工学科)教員室
大田一郎1号棟3階
使用教科書
押山保常,相川孝作,他著「改訂電子回路」コロナ社
参考書
伊藤規之著「テキストブック 電子回路」日本理工出版会
家村道雄他著「入門電子回路アナログ編」オーム社
科目の位置付けと関連科目本科目は,第1級陸上無線技術士の国家試験との関連性が深い.関連する基礎科目は電気回路学,電子工学,電子計測,および,3年次の電子回路Tである.また,3年度における電子回路Tの応用科目と位置付けられる.
科目の概要3年次で学習したトランジスタとFETの動作を基にして,4年次では,その応用回路として電力増幅器,発振回路,パルス回路および電源回路を通して,トランジスタとFETの大振幅動作,小振幅動作およびスイッチング動作を修得する.回路をブラックボックスで考えるのではなく,原理からどのようにして動作しているのかに重点を置く.
授業方針この科目で次の事柄ができるように授業を行っていく.
@ダイオード,トランジスタ,およびFETを用いた比較的簡単な回路図を読むことができる.
AトランジスタやFETの等価回路を用いて,回路の動作量や発振条件を導出できる.
Bダイオード,トランジスタ,およびFETのスイッチング動作を理解して,簡単なパルス回路の動作を説明できる.
C電源回路の種類と動作の違いを理解し,特性を説明できる.

授業項目

時間

達成目標(習得すべき内容)

ガイダンス
1
本授業の概要,学習の進め方,本科目の評価法などの全体的ガイダンスを行う.
電力増幅器の動作と効率トランス結合増幅器
7
A級,B級,C級の各電力増幅器について,バイアス回路,動作点の位置,コレクタ効率等の差異を説明できる.
インピーダンス変換器と増幅器の雑音指数
6
エミッタホロワとソースホロワについて,等価回路を描き増幅度や入出力インピーダンスを導出できる.増幅器の雑音指数の定義を理解し,抵抗やトランジスタ増幅器の雑音とその周波数特性を説明できる.
RC発振器と発振条件の導出
6
発振回路のメカニズムを理解し,移相発振器,ターマン発振器,ウィーンブリッジ発振器について,それぞれの動作を理解し,発振条件を導出できる.
LC発振器と発振条件の導出
8
ドレーン同調発振器,ゲート同調発振器,コレクタ同調発振器,ベース同調発振器,コルピッツ発振器,ハートレー発振器の動作を理解し,発振条件を導出できる.
水晶発振器と波形整形回路
10
水晶発振器の原理,水晶振動子の等価回路,その周波数特性を説明できる.また,負抵抗発振器と負コンダクタンス発振器について動作を理解し,発振条件を導出できる.ダイオードとトランジスタのパルス応答について理解し,リミッタ,スライサ,クランパの入力波形が与えられた場合,出力波形を描ける.
方形波や三角波を発生させる回路とコンパレータ
10
無安定,単安定,および双安定マルチバイブレータについて,動作原理と各部の波形を説明できる.ミラー積分回路,ブートストラップ回路,コンパレータ,シュミット回路,およびCMOSインバータの動作と波形を説明できる.
整流回路と平滑回路
6
各種整流回路やコッククロフトウォルトン回路について動作を説明できる.また,コンデンサ入力形,チョーク入力形,リプル,スパイク,整流器の逆電圧,整流効率などについて,定義と意味を説明できる.
ドロッパ形電源とスイッチング電源
6
ドロッパ形電源とスイッチング電源の原理を理解し動作を説明できる.また送電線の電圧が高い理由,ICの電源電圧が世代毎に低くなっている理由,電源回路がドロッパ形からスイッチング方式になった理由について説明できる.
評価方法及び総合評価定期試験評価(70%),小テスト評価(20%)演習レポート評価(10%)の比率で総合して評価し,60%以上の得点率で目標達成とみなす.なお,演習レポートの提出期限は課題提示と同時に示し,1週間以内の提出遅れは正規の評価の半分とする.未提出や1週間以上過ぎて提出されたレポートの評価点は0点とする.
学習方法回路の動作や式は暗記しても使えないとダメである.なぜ,そうなるかを理解して学習すると良く分かる.具体的には,問題の回路を見て動作を説明して,キルヒホッフの式を導出する練習を繰り返し行う.
学生へのメッセージ本科目は,第1級陸上無線技術士の国家試験との関連性が深く,能動素子の応用を学ぶ重要な科目である.この科目の講義内容について十分に復習して受講することが望まれる.質問は授業中でも教員室でも随時受け付ける.
学修単位への対応本科目は50分の授業に対して,放課後・家庭で40分程度の自学学習が課せられる.年4回のレポート作成と年8回の小テストおよび年4回の定期試験の勉強で自宅学習を確保している.
本校教育目標との対応
(3)
JABEE学習教育目標との対応
C-2(◎)